主な研究成果

人工細胞工学

アメーバ型分子ロボット

センサーやアクチュエータ、論理回路として機能する生体分子デバイスを組み合わせて、特定の信号分子に反応するアメーバ型分子ロボットを構築しました。このロボットは、本体、アクチュエータ、アクチュエータ制御装置(分子クラッチ)から構成されています。本体は脂質二重膜からなる小胞(人工細胞)で、アクチュエータはタンパク質、キネシン、微小管から構成されています。このロボットに光を照射して分子クラッチをON/OFFし、ロボットの形状変化挙動をON/OFFすることに成功しました。この技術は、複雑で機能的な分子システムを構築するための基盤となる技術です。

https://robotics.sciencemag.org/content/2/4/eaal3735
Sato et al., Science Robotics, 2017

DNAナノテク

DNAオリガミナノアーム

DNA分子のプログラム性と構造的な柔軟性を利用して、大変形が可能なDNAオリガミナノアームを構築しました。DNAオリガミナノアームは、張力調整可能なモジュールを連続的に繰り返したもので、直線状からアーチ状に大きく変形します。この技術のさまざまなDNAナノデバイスへの応用が期待されます。

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/anie.201916233
Suzuki et al., Angewandte Chemie- International Edition, 2020

DNAオリガミチャネル

人工細胞・分子ロボットの機能を発揮させるためには、外部環境からの分子情報の取り込みが不可欠です。ここでは、DNAオリガミ技術をもちいて、断面積100nm2の四角いチューブを用いた膜ナノポアを設計しました。細胞膜を模した巨大ベシクルにナノ細孔で穴をあけ、最大4本のssDNA鎖を添加することで、サイズに応じた分子の選択的な輸送が可能になりました。この技術は人工細胞間の分子通信に応用可能です。

https://pubs.rsc.org/en/content/articlehtml/2021/cc/d0cc07412h
Iwabuchi et al. Chemical Communications, 2021

反応拡散によるパターン形成

DNAの人工反応拡散系を使って、ハイドロゲル媒体中でパターンを形成する技術を開発しました。DNA分子間の反応とDNA分子の拡散の両方を設計することで、ゲル中に持続的なDNAパターンを生成します。ゲル内に固定されたDNAロジックゲートが、遠方の拡散分子を検出し、拡散源点から等距離の領域をマークすることで、ゲル内にボロノイパターンを生成します。この技術は時空間的な分子計算システムや人工臓器の作製に応用可能です。

https://pubs.rsc.org/en/content/articlehtml/2019/me/c9me00004f
Abe et al., Molecular Systems Design and Engineering, 2019.

論文リスト

村田教授関連:論文(google scholar)

川又助教関連:論文(google scholar)

安部助教関連:論文(google scholar)

野村准教授関連:論文(google scholar)

松林助教関連:論文(google scholar) ‪

ページトップへ